ストレスについて☆ストレスという言葉の始まりもともとは、物理学に使われていた言葉ですが、 カナダの生理学者であるハンス・セリエ博士が1936年に イギリスの雑誌「ネイチャー」誌に「ストレス学説」を発表したことから、 この言葉が使われ始めました。 ☆ストレスをなくすことはできるの? 残念ながらストレスをなくすことはできません。 生きている限りストレスは続きます。 ストレスとは、本来、生物が外的あるいは内的な刺激に適応していく 過程そのものを概念化したものだからです。 つまり、気候が変わればそれに適応し、 飲み水が変わればそれに適応し、 心理的なショックを受ければそれに適応していく、 そうした環境に適応していく時の反応とプロセスのことを ストレスというのです。 我々の意志とは関係なく、自然環境は常に変化していますし、 我々の心も自分ではどうにもならないくらい急激に変化することがあります。 こうした外的・内的環境の変化に適応していくということが、 とりもなおさず「生きる」ということですから、 「ストレス」という言葉は「生きる」という言葉の同義語ぐらいに 考えてみてもいいくらいなのです。 ☆「ストレス学説」が画期的だったわけ セリエ博士の「ストレス学説(ジェネラル・アダプテーション・シンドローム)」が画期的だったのは、刺激の種類に関係なく、 その刺激に適応していくときの反応とプロセスは同様のものを示す ということ発見したことにありました。 もちろん、当時の医学界では「ストレス」という言葉とともに、 そんなに簡単に受け入れられる学説ではありませんでした。 無理もないかもしれません。セリエ博士は、 どんな病気でも同じ症状を示すはずだと言ったのですから。 それならば、どんな病気でも同じ治療法が成立するということにもなります。 当然医学界で簡単に受け入れられるはずはありませんでした。 また、私たちが一般的に考えてみても実に不思議なことを発見しています。 つまり、人間は、悲しみでも、喜びでも同じ反応プロセスをたどって その刺激に適応していこうとするいうのです。 なかなか信じがたいことです。 ○ペットのストレス ストレスを癒してくれるかわいいペット・・・ こんな家庭で飼っているペットにもストレスはあるのでしょうか? もちろんあります。元々ストレスの発見は人間ではなく、 ネズミの実験から発見したものです。 それをセリエ博士は人間にも当てはめたのです。 さらに、セリエ博士は植物にもストレスはあるといっています。 ☆よいストレスもある 「ストレス」という言葉の元々の始まりからもおわかりのように、 ストレスとは刺激に対する反応ということもできます。 その反応には、当然悪い反応もあれば、よい反応もあります。 つまり、ストレスには「悪いストレス」だけでなく 「よいストレス」もあるのです。 ☆よいストレス (eustress) 「よいストレス」とは、例えば、目標、夢、スポーツ、よい人間関係など、 自分を奮い立たせてくれたり、勇気づけてくれたり、元気にしてくれたりする 刺激とその状態です。 こうした「よいストレス」が少ないと、 人生は豊かにはなりません。 ☆悪いストレス(distress) 「悪いストレス」とは、例えば、過労、悪い人間関係、不安など、 自分のからだやこころが苦しくなったり、 嫌な気分になったり、やる気をなくしたり、 まわりの人に何らかの迷惑を及ぼしてしまったりするような刺激と その状態のことをいいます。 ☆6受け止め方で違ってくる しかしながら、同じストレッサーでも、受け止める人によって 「よいストレス」になるか「悪いストレス」になるかが大きく異なってきます。 例えば、スポーツの好きな人には、スポーツはよいストレス状態を 引き起こしますが、スポーツの嫌いな人には嫌な気持ちを 起こさせるということがあります。 あるいは、ある目標や期限をバネにしてがんばる人もいますが、 同じ目標や期限を、しかたなく果たさなければならないノルマ、 迫り来る締切と感じて自分を苦しめる人もいます。 ☆ストレスがなさすぎても問題 ストレスの量と生産性の関係を見てみますと、 ストレスレベルが高すぎても、低すぎても生産性は落ちるということが わかっています。 ですから、人生には適度なストレスが必要と言えます。 ☆適度なストレスを 前述のセリエ博士は、「ストレスは生活のスパイスである」と 言っています。 適度な「よいストレス」を持つようにし、 その一方で、「悪いストレス」は、できるだけ少なくし、 あるいは、何とかそれに対処していくこと、つまり、 ストレスを解消する、受け止め方を変える、などが重要です。 |